大好きだった先生は今日も私を起こす






「もう、四月ですね」



「そうだな、生徒じゃなくなったな」


「うん...」


「もう、いっかな」


緊張しているのが伝わる...


「いや、あの、さ。」


先生の目をじっと見て、言葉を待つ。





「他の世界を見て欲しい」






えっ...



「ほ、他の世界...?」





「うん」




「だ、待ってなにそれ...」




「泣くなよ。ちゃんと最後まで聞いて」



頷く私を見て口を開く先生



「過去形だ。他の世界を見て欲しいと思ってた」




「今付き合ったら、未来を縛っている気がして嫌だった。
他の先生も付き合うなら他の世界を見てから決めてもらいなって言ってて俺もそれがいいとずっと思ってた」





私は知らなかった
他の先生方が、私の好意に気付いていたこと。




「でも、会うたび会うたびお前の良いところしか見えなくて。
どんどん好きになっちゃって。
自由を奪っているとわかってるんだけど誰にも渡したくないんだ。」





そう言うと先生が私を抱きしめ





「彼女になってくれませんか」





ずっと聞きたかった言葉を言ってくれた





私が大きく頷くと
抱きしめる力が強くなった。







「全然十月じゃないじゃん...」




「うっせ!我慢できなかったんだよ!」



「ありがとう」



「なんでお礼...」



「選んでくれて、ありがとう」



「ちゃんと、考えてるから、将来のこと」




「し、しょ!?」



「うっせー!寝るぞ!」





そんな夜のことでした。










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