御曹司を探してみたら

「良かったな。多少の誤解はあったが、何はともあれ気に入られて」

ポンッと頭に手を置かれぐしぐしと撫でまわされても、不快にしか感じなかった。

私は頭に置かれた武久の手をぺいっと振り払った。

「良くないわよ!!福子夫人は私と武久が恋人同士だって完全に誤解したままなのよ!!」

確かに何でもするって言ったのは私だけど!!

いっそのこと福子夫人の前で、お嫁サンバでも踊ってやろうか!?

結婚式の余興に最高だって、先にウェディングベルを鳴らした友人からはもっぱらの評判ですけど?

「あのばーさんは周防建設の株の20パーセントを保有している大株主って知ってたか?」

「知るわけないじゃん!!」

会社経営なんて興味の範囲外だし。かぶはかぶでもたべられない方のかぶには興味はありません。

「つまり、ばーさんの機嫌を損ねれば、クソ親父だってただじゃすまないってことだ。お前をクビにすれば、今後は必ずばーさんが口を出してくるだろう」

なるほどね、ふむふむ!!さすが武久くんってばかしこーいって。

褒めるか!!ばかっ!!

……こういう形で保証されても全然嬉しくないんですけど!?

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