御曹司を探してみたら

そんな武久が今回に限っては“やめとけ”なんて……。

(もしかして田辺さんって本当に“訳アリ”だったりして……)

突拍子もない結論が出てきて、自分でも思わず吹き出してしまう。

(……ないない。だって、あの田辺さんだよ?)

「お待たせ」

そうこうしているうちに、とうとう待ち合わせの時刻になり田辺さんが改札の向こう側からやって来る。

仕事帰りにそのままやって来たにも関わらず、田辺さんは疲れた様子を一切なかった。

スーツにはくたびれたところはなく、革靴はピカピカに磨き上げられ埃ひとつ見当たらない。

……どこまでも完璧な御曹司サマである。

「いえ!!全然待ってません!!」

「じゃあ行こうか。ここから直ぐなんだ」

そう言うと田辺さんは、私の手を引いてゆっくりと歩き出したのであった。

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