服を着て、朝よ来て。

ああ、もう帰ろう。

朝日が昇ったらすぐにでも帰ろう。

光が少しでも昇ったら、すぐ帰ろう。

あと1時間ほど、寝たふりをして、声を押し殺しすぐに帰ろう。


服を着て、朝を待とう。

彼といて、朝が待ち遠しいなんて一度も思ったことがなかった。

朝よ、早く来て。

そして、私の目よ覚めて。

恋が盲目なら、早く正気に戻りたい。

それほどまでに彼を愛しているから、この愛の終わりが見えないの。




泣き続けてしばらく経った頃、深い藍色の空が水色に変わっていた。

私はベットからおり、服を着る。

自分が寝ていた反対側に回り、彼の寝顔をそっと見つめる。

彼の頬に涙の跡がある事を知る。

緩みまくった涙腺がまた言う事を聞かず、彼の頬に新しい雫が落ちる。

ベットサイドにある彼のタバコを一本盗み、ベランダに出て火をつける。

優しい風が包み込んでくれる。

苦いタバコを吸いながら、どこが美味しいんだろうと考えていると、目の前に強い日差しが現れる。

朝が来た。

暖かい光の中、もう一度涙が流れた。




部屋に入り、始発に間に合うように帰る準備をする。

最後にベットサイドのメモ用紙に彼に向けた置き手紙を。


一文書いて満足したが、これじゃ意味がわからないかもと最後に書き加える。

そして彼の元に行き、私と彼の涙の跡がついた頬に短いキスを落とし、泣き腫らした顔に笑顔を少し作ってありがとうと呟いた。


明日からは彼以上を探しながら、彼のことを忘れられずに行きていくんだろうな、そんなことを思い部屋を出た。



今まで、罪悪感でいっぱいだった朝日が私を包み込んでくれているような気がした。




“服を着た、朝が来た、もうそれで充分。つまりは貴方を愛していました。”



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