いつも側で君を感じるから。
リストバンドから見えた手首の傷は、まだ新しいものもあった。
「お前の親父と話してーんだけど」
「ダメ!新のこと巻き込みたくないっ」
「んなこと言ってる場合じゃねーだろ!?俺はもうあの頃のガキじゃねーんだ」
しかしみなみが「やめて……本当に」と言いながら泣いて俺を抱きしめてくる。
「最近お母さんとお父さん、話し合ってるの……離婚するかもしれない。私達だけでちゃんと解決するから……大丈夫だからっ……」
手が震えている。
殴られても、父親の事信じてたんだもんな……。
俺ができることといったら、みなみが不安なときにこうやって側にいてやることだけだ。
それからまもなく、みなみの親は離婚し、父親は家を出て行った。
これで一安心だなんて思うのは間違いで、みなみの心の傷は深く、たまにその傷が疼く。
そう、まるで俺が父親と会った時に感じる、あの動悸のようなもの。
みなみも同じものを感じていた。