いつも側で君を感じるから。



お母さんと喧嘩した日から、お母さんは私にほとんど話しかけてこなくなった。

好きにしなさいという感じで、夜に出かけても何も言ってこない。

そんな私をお姉ちゃんだけは心配してくれたけど……。

「あっちの方行こ」

八雲さんは半ば強引に私の腕を掴んで歩き出す。

辺りを見渡すと、色んな所にカップルがいてイチャついている。

「あのっ八雲さん、私っ……」

「ここさぁ、カップルには有名なんだよ。知ってた?」

「し、知らないです……」

振り向いた八雲さんの目が怖くて、思わず逸らしてしまった。

ちょっとヤバイんじゃ…。

「りーちゃんさ、新のこと本当になんとも思ってないんでしょ?」

「え……は、はい……」

「好きなヤツもいねーの?」


静かに頷くと、八雲さんはいつもの笑顔に戻った。

「じゃー、いいじゃん。付き合おうよ俺と」


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