ばいばい、津崎。


目的の新宿までおよそ30分。

ぎゅうぎゅう詰めの車内も、この息苦しい空気も毎日のことなのに、なんだかとても気分が悪い。

音楽で気を紛らわそうとしても、胃がムカムカしてきて、さらには血の気がひいたように手が冷たくなっていく。


……ヤバい。吐きそう。

そう思っても快速だから次の赤羽駅までは10分もある。でも下りたら仕事に間に合わないし、今日は大事なミーティングがあるから遅刻は絶対にできない。

それでも気持ち悪さはどんどん悪化していって、私はなるべく無心でいようと目を瞑る。


……そういえば、最近食事をおろそかにしてたし、昨日の夜も遅くまで海外ドラマのDVDを見ていたから、そういう条件が重なって体調不良になっているのかもしれない。


朝ご飯はカフェオレだけだから、最悪吐いてもハンカチでなんとかなるかな。


……ならないか。

小さい子どもじゃないんだし、体調管理ができてないことも全部自己責任。肩がぶつかるのと同じように、足を踏まれるのと同じように、私が真っ青な顔をしても誰も気にしないし、気づかない。

だから私がしゃがみこんだところで「邪魔だな」と言われるだけ。

< 2 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop