金曜日の溺愛にはかなわない(完)
「なんか言ったか?」


「い、いえなんでも…「ぼさっとしてないではやくしろよ」



出たよ。
横暴社長。



「はーい」



軽く返事をしてふたたび雑誌に向き直る。



切りながらふと社長を見る。


切れ長な目にすらっと通る鼻筋。
顔立ちもシャープでモテそうなのに彼女がいないらしい。

会社の女の子は、社長のことみてキャーキャーいってるけど、あたしにはまったくどこがいいのかわからない。

だって、普段みんなに見せる顔は王子様なのに、あたしに見せる顔はなんだか腹黒い。
こっちが本性だろうし、2面性があっていいって人にはいいのかもしれないけど、あたしには受け付けない。

やっぱり裏表ない人が一番だよね。



「終わったか?」



あたしのデスクを覗き込む社長。



「わっ!びっくりした!終わりました!」



考えてたその人の顔が目の前にあって面食らう。
やっぱり顔は、顔だけは整ってる。

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