ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
営業部の自分の席に戻って、もしかしたら彼女が訪ねてくるんじゃないかとしばらくは様子を窺っていた。




だけど退社の時間を過ぎても現れる様子はない。





本から抜き取ったしおりをじっくりと見る。





どうみても俺がもらったあのしおりと対になってるものにしか見えない。






名前も一緒だし、これだけ状況が揃ってたら、疑うことなく同一人物だって思いたいのに。




そう思えないのは彼女を由宇さんだって認めたくないからなんだと思う。




俺の記憶に残ってる由宇さんとあまりにもかけ離れてて


どこかで認めたくないんだろ?





だけどさっき普通に話してて気付いた事もあるんだ。





聞いてて心地よかった彼女の声。



落ち着いて聞き取りやすい口調。





それは薄れた記憶の中に辛うじて残ってた由宇さんの声と重なった気がしたんだ。





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