ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
でも苗字が違う。



そこで俺はビール瓶を持ったままの“ゆう”さんの手を見る。



注目したのは左手の薬指。



……指輪は…つけてない。



結婚して苗字が変わったわけではなさそうだ。




と、いうことはやっぱり別人?それとも親の離婚や再婚で変わったのか?




くそっ。ぜんぜんわかんねー。記憶の中の由宇さんと完全一致してくれれば一発なのに。





『結城さん?どうしたんですか?

もしかして酔っぱらってきちゃいましたか?』




覗き込むように顔を近付けてくるから過剰にのけ反ってしまった。





そんな俺を見てクスクス笑う。その笑いを止めて少し恥ずかしそうにこう言った。





『…私の事意識してそんな態度だったら嬉しいのにな。
歳を聞いてきたのも興味があるからだといいのに…』




俺の頬が熱くなる。
酒のせいなのか今の言葉のせいなのか、わからなかった。



< 87 / 344 >

この作品をシェア

pagetop