直感的結婚~恋はこれから~
「美琴、開けて」

「はい」


両手が塞がっている泰士さんからの要求に応える。

バスルームへ続くパウダールームのドアを開けるが、彼の首から手を離したので体制が崩れて、体が傾く。落ちないようにとしっかりと抱き締められてはいるが、ビクッと震えた。

だけど、それよりも開けた先の光景に声をあげる。


「うわっ、広い」

「うん、そうだね」


大きな鏡の前に四角い洗面器が二つあり、その前に一つずつ椅子があった。その反対側はクローゼットになっているのか両側に開く扉がある。

床にそっと下ろされた私はその扉を開けてみる。

様々な大きさのタオルとバスロープが入っているだけで、中はすかすか。五人一緒に隠れることが出来そうなくらいの広さだ。

次にすりガラスのドアを開ける。


「うわー、すごい」

「ほお、これはすごいね」


これまた五人は入れる大きさのバスタブがあった。シャワーも二つあって、二人同時に洗えるようだ。だからといって、一緒に入って同時に洗うことはしたくないけれど。
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