キミを奪いたい
「……もう、大丈夫だよ」
そう答えるだけで精一杯だった。
だって、唇が震えて上手く言葉にならなくて……
「……そうか」
気まずさよりも恥ずかしさの方が込み上げてきて、どう返事したらいいのか分からなかった。
離れていく指先が名残惜しくて。
でも、引き止めることも出来なくて。
頬に残された温もりを感じながら、ただリョウを見つめるだけ。
そんな私を現実に引き戻したのは、
「────お前、あやのに何してる」
ここにいるはずのない、侑真の怒りのこもった声だった。