記憶。
終わりの始まり

「お世話になりました。」


彼の母親にそう告げると
泣きそうになるのをこらえて、
私は彼の家を飛び出した。

彼の両親とも交流があり、
何度も助けてもらっていた。


山本千香(ヤマモトチカ)22歳。
先日仕事を辞め、住む家を失い、
.....そして彼氏も失いました。


(ああ、また一人ぼっちになっちゃった。)


やっぱり、こうなる運命だったんだね、なんて
強がってはいるけれど正直つらい。


たくさんの悲しみに溺れながら
私は、実家への道を電車に揺られていた。

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