立花あかり~過去編~
第三章
あたしは目覚ましの音で目が覚めた。

「ん…」

ふぁぁぁぁっ… 眠い。

いつも通りの朝、あたしは今日から新しい学校に通う。

久しぶりに昔の夢を見た。

ここは幻想郷。

あの後あたしは永遠亭で目覚め、ここに住むことになった。

それからはみんなに仲良くしてもらっているが、過去のことはもう、誰にもしゃべらないと決めた。

あれからあたしは結構変わったと思う。

一つ目は、今あたしが人間の姿になっても狐の耳と尻尾はついていないこと。

原因はわからない。

でも、その方があたしにとって都合がよかった。

あたしはこのまま人間として生きていくことにした。

そしてもう一つ、あたしに一つの能力が宿ったこと。

『気配を操る程度の能力』

パチュリーいわく、能力は自分の願望とか理想を具現化したようなものらしい。

あたしは昔、 まだ村の路地で生活していた頃に気配に敏感になっていたことが影響しているのだろう。

ふぁぁぁぁっ… やっぱり、まだ眠い。

でも、このままだと遅刻する…。

あたしは二度寝をしようとする体を無理やり起こし、着替えを準備した。

過去のことは絶対に忘れない。


あの人はあたしにとっての恩人であり…初恋の人だから。


あたしは『彼』にもらったリボンを新しい鞄につけ、出かける準備をした。
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