午前0時のシンデレラ

階段を駆け下りて行くと、途中でその背中に追いついた。

「…おい」

思わず声をかけると、

「えっ…?」

長めの黒髪がふわりと翻って、メガネをかけた地味目な女性が振り向いた。

おとなしめな外見なのに、なぜだか瞬間に魅きつけられて、

「ちょっと待て…」

と、わけもなく引き止めた。

「……なんですか?」

立ち止まった彼女が怪訝な顔をする。



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