そのプロポーズお断りします!
田沼さんが立ち去ると、

「田沼さんって優しいお父さんって感じだよねえ。
穏やかだし、仕事は出来るし…
うーん。惜しいなあ。良い人を失った。」と隣の席の坂井先輩が口を尖らせる。

「先輩、言い方が良くないです。
栄転なんですから、お祝いしてください。」と私が真面目な顔をすると、

「三ツ矢ってさ、真面目すぎるでしょ。
そこは笑うところだから…。」と頬を摘まれる。

イタタ。

「先輩、頬っぺたつねらないでください。」とニコニコして見せると、

「そうそう。笑うと可愛いんだから、
難しい顔で、仕事しない」とニッコリ頬っぺたから手を離してくれる。

このやりとりは私が坂井先輩の隣になった配属2ヶ月目からされている行事のようなもので、
決してイジメってわけじゃないけど…

「お仕事中は真面目にお仕事しないと…」と私がパソコンに向かうと、

「ハイハイ、2年目になっても真面目なままだねえ。」

と坂井先輩は呆れた声を出してパソコンに向かった。




…真面目って言うか融通が効かないっていうか…って坂井先輩の呟く声が聞こえる。



私は不器用で、いつも上手く立ち回れない、

真面目すぎて面白くない女。って社内で言われているのはわかってる。

…自分では一生懸命やってるだけなんだけど…
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