らずべり味〔徒然日記〕
『ケース1』




「この前会ったオバさんが、あんたに紹介したい人がいるって。」




まだ親と同居してた二十代の頃、母親に急に言われた。




「それって… お見合いって事?」



「そうみたいね」



母もクールに答える。




そのオバさんとは、私が子供の頃近所に住んでた人で、母とスーパーに居た時に偶然再会した。





「あらー、大きくなって〜」



と、そのオバちゃんにシミジミと言われたが、昔も特に親しかった訳でもなかった。



だから、その人からお見合い話が来るのも不思議だった。




今の私を、何も知らないのに。





< 56 / 169 >

この作品をシェア

pagetop