* Wonder-room…No.7 *
「やっと顔出してくれたな。俺、この2週間耐えられなかった。今日は帰るのやめて、俺を癒してくれよ、なぁ…」

そうきたか…まぁ予想通りの展開…

「お兄様、今日私はお父様とお話をしに来たの。だから、まず挨拶して来ます。」

奏夢兄に捕まらない様に 先回りで動かないと、離してくれそうにない雰囲気だ。

「そうか…俺も一緒に行くから、寧々ほら…」

当たり前の様に手を絡めてくる奏夢兄。仕方なく手を繋いで 父がいる部屋に向かう。

トントン。
ノックをして部屋に入る。

「お父様、ただいま戻りました。勝手に家を出てごめんなさい。」

「寧々 元気だったか?こっちにおいで。」

寧々の父もまた 兄までいかないが溺愛体質…父にまで 包容される有り様…

「お父様 お願いがあるんです。もう少しだけ独り暮らしを認めて下さい。
マンションの契約が半年なので、最低6ヶ月です。
我が儘を言うのは 初めてだと思います。どうか、私のお願いを聞いて下さいませんか?」

「チッ。それは長い…長過ぎだろ?」
奏夢兄が イラつきながら私に言う…

「まあまあ奏夢 落ち付けよ。可愛い妹が側に居ない毎日はつまらんからな。寧々 半年独り暮らしを許可しよう。」

「やった!お父様、ありがとう♪
寧々、お父様が大好き!!」

余りにも嬉しくて
父の胸に飛び付いてしまった。

「寧々、そんなに嬉しいのか…
そうか、そうか…」

「親父ばっかりズルいぞ。
俺のところにも来いよ寧々。」

「嫌だ。お父様がいい。」

「寧~々。お前 後で覚えとけよ。」

「それはそうと寧々 明日からは小鳥遊companyに転職だからな!」

「はい?どうゆう事なの?」

「親父、ナイスアイデア。
それって決定事項?
父として?それとも社長として?」

「職場にも慣れてきた頃だろ?
寧々の会社の久遠社長のくうちゃんと友達なんだよ。俺らで計画してる事があってな…その第1段階。余り詳しく今は言えないが…」

「寧々、よかったな…
俺と毎日一緒に会社に行けるじゃない♪」

ご機嫌な兄、上機嫌な父、不機嫌な私…
だけど…独り暮らしを許して貰えた手前 私はNOとは とても言える立場ではない。

ただ明日からの転職に
目の前が暗く 不安な未来に
ため息しか出ないのであった…







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