年下属性はありません!
木村先生は俺のことを好きだとはっきりと言った!

だけど,俺が未成年だから付き合えないと。

そんなことは俺にとっては些末な問題だと思った。

だって俺は永遠に未成年じゃない。少なくとも中学校はあと一年で卒業だ。

俺には希望のある未来しか見えなかった。

②なら諦めない。諦める必要はないのだ。

「まじっすか!じゃ,俺諦めません!」

思わず語気が強くなる。先生は俺の勢いに驚いているようだった。

「迷惑なら身を引くしかないのかと思ってたけど,今の話を聞くと,先生も俺のこと好きなんですよね?」

「いや,生徒としてね・・・」

「先生に付き合ってもらえるまで,俺,絶対諦めません!ありがとうございました!」

俺は俺の気持ちをしっかりと伝えた。

先生の気持ちもしっかりと伝わった。

ふと見ると,正行がちょうど教室に入ってくるところだった。

早速俺は正行に報告するために自習室に戻る。

正行も一緒に喜んでくれた。

「やっぱり,和也が中学生っていうのはネックだよね」

「まぁ中学なんてあと一年で卒業だ。あと,塾のルールがあるらしくてラインは教えてもらえなかった」

「そうなんだ,じゃあ和也のを渡せばいいじゃん。」

その手があったか!

わざわざ教えてもらわなくても俺が教えて,そこに連絡をするようお願いすればいいのか。

「だけど連絡,来るかな」

「また進路のこと相談したいって言えば?人ってのは大義名分が欲しいだけなんだよ。自分のやりたいことがあるのに一歩踏み出せない場合,行動を正当化してくれる理由があれば動きやすいんだよ」

「たいぎ・・・?」

正行は小難しいことを言う。こいつはほんとに中学生か?

「つまりは,ルールがあるから和也にメールを送れないなら,ルールを破っているわけじゃないという,先生自身を納得させる理由を与えてやればいいわけ。」

やっぱりよく分からん。とにかく進路相談って言えばいいんだな。
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