人間発注書
「なんだあれ」


立ちどまって伸紀がそう呟いた。


俺も同じ気持ちだった。


灰色の建物は総合病院ほどの大きさがあるのだが、窓が1つもついていないのだ。


あるのは入口だけ。


その光景は異様で俺は軽く身震いをした。


建物の手前には門があるが、それは簡単に乗り越える事ができそうだ。


「これが『人間発注書』の施設かよ……」


窓が1つもないのは人間をこの建物から逃がさないためだろう。


ということは、この施設はそのためだけに作られたということだ。


こんな、何もない村の山奥に。


仮に施設から人が逃げたとしてもどこにも逃げ道はない。


そんな場所にあえて建てられた建物だと、すぐに理解できた。
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