人間発注書
部屋の中を確認した俺たちが廊下へ戻ろうとしたその瞬間、開け放たれたドアの向こうから人の視線を感じて振り向いた。


廊下に立っていた少年と視線がぶつかる。


俺も伸紀も、そして少年も何も言わなかった。


ただ、少年は大きな目を更に大きく見開いて俺たち2人を見つめていた。


年齢は中学生くらいだろうか、色白で女の子のように華奢で、整った顔立ちをしている。


少年はしばらく呆然とした様子で俺たちを見ていたけれど、ハッと我に返ったように口を開いた。


誰かを呼ばれるかもしれない!


そう思った俺は咄嗟に動いていた。


少年の目の前まで移動し、その手首をつかんでいた。


驚くほど細い手首にドキリとする。


「……あなたたちは誰?」


俺に手首を掴まれた事で困惑した表情になった少年は、静かな声でそう聞いて来た。

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