人間発注書
タケトの両親
電話の相手はタケトの両親だった。


自分の事をどう説明しようかと悩んだが、今日の出来事を包み隠さず説明した。


タケトの両親は驚いた声を出していたが、タケトは元気そうだったと伝えると泣き声で喜んでくれた。


「タケトは助けてほしいんだと思います」


『わかっています。私たちも同じ気持ちなんです』


タケトの両親は力強い声でそう言い切った。


どうやら、タケトは本人の意思でも両親の意思でもなく売られることになったようだ。


だけど『人間発注書』に人を売るためには身内の同意が必要なはずだった。


その身内というのがどこまでの範囲を表しているものなのか、考えると一瞬怖くなった。


それから会話を続けていると、タケトは半年間ほど親戚の家に預けられていたことがわかった。


タケトの両親が転勤族であったため、タケトが中学2年の頃に何度目かの転校が決まったらしい。
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