人間発注書
そう思ってサイトを閉じようとした時だった。


ふと、ルイの発言が気になった。


《ルイ> 娘が売られるとしたら人間発注書貰いに行かないとなー》


その発言はみんなに無視され、すでに埋もれている。


けれど、《人間発注書》という文字に釘づけになってしまった。


どこかで聞いたことのある名前だと感じた。


でも、どこで聞いたのかわからない。


そもそも、《人間発注書》なんて言葉が出て来るような世界で暮らしてはいない。


けれど、聞き覚えがあった。


《ルイ》の書き込みをジッと見つめて自分の記憶を辿っていく。


つい最近、どこかで聞いたり見たりしたハズだった。


頭の中を最近の出来事が目まぐるしく過ぎ去っていく。


その時、コンビニのロッカーから沢山のPOPが落下してきた時の事が思い出された。


あの時見つけた黒いバインダー。


中には男女の顔写真や名前、数字が書かれていた。


それらを思い出して瞬間、ハッと息を飲んだ。
< 26 / 304 >

この作品をシェア

pagetop