人間発注書
突き止める
家の近くまで帰って来たところで、見覚えのある顔にバッタリと出合った。


「あっ」


と思わず口に出してしまい、相手が怪訝そうな顔をこちらへ向ける。


俺は咄嗟に顔を背けてその男の横を通り過ぎた。


でも間違いない。


あの男はこの前コンビニに来ていた男だ。


恰幅のいい体に大きな目は見間違えようがなかった。


数歩歩いて立ち止まり、振り向いた。


男は太っているせいで歩きが遅い。


こんな所で何をしていたんだろう?


私服姿だから、仕事というワケでもなさそうだ。


案外、家が近いのかもしれない。


そう思った俺は男の後を追いかけるようにして、そっと歩き出したのだった。

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