人間発注書
焦り
その日のバイトも滞りなく終えることができた。


ただいつもと少し違ったことと言えば、昼過ぎにミホコが買い物に来たことだった。


「おぉ~、ミホコ」


そうやって声をかける俺をガン無視して、ミホコは真っ直ぐに新人へと話しかけてしまった。


ミホコも新人も、互いに少し頬を赤らめて楽しげにどうでもいい会話をしていた。


その様子を見ているとイライラした気分なっている自分がいた。


嫉妬ではない。


断じて違う。


ただ、新人とミホコを引き合わせた俺が近くにいるというのに、存在を無視されるのがムカついたのだ。


だからミホコが俺のレジに来て初めて俺に気が付いたように「あ、秋夜もいたんだ」と言われた時は、ミホコが購入後のアイスクリームをレンジで温めてやろうかと思った。


それからミホコは俺に適当に「ごめんごめん」と謝り、新人へ向けて可愛らしく手を振ってコンビニを出て行った。


よって、バイト終了後の俺は少しばかり不機嫌だった。
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