誘拐犯との危ない恋
「昇… 昇…」
亜弥は昇の体をゆすっている。
「亜弥その男から離れなさい」
亜弥は後ろから腕を引かれた。
振り返るとお父さんがいた。
「お父さん…昇が…昇がね……血が………」
亜弥は動揺してしまって
上手く喋れない。
「その男は放っておいて
家に帰るぞ
お前も誘拐されて怖かっただろう…
まったく酷いヤツだ……」
お父さんは冷たい目で昇を見た。
その時、救急車が到着した。
ヘルメットを被った2人の職員が昇をタンカに乗せて車に入れた。
亜弥はその様子を静かに眺めていた。
その時亜弥は我に戻った。
「酷いヤツ
酷いヤツって何ョ
昇は酷い人なんかぢゃナィ
とっても優しい人なの
とっても人を大切に出来るの
だいたい警察も警察ょ
あんた達、私のコト
人質、人質って、、、
昇は私のコトちゃんと
『亜弥』って名前で呼んでくれた
私のコトなんて本当ゎ
どぅだってイイんぢゃナィ
昇に何かあったら許さない
お父さんも警察も大嫌い
もぅ私に構わないで」