晴れのち曇り ときどき溺愛
 見城さんの言葉が嘘でなかったと分かったのは定時以降に会議室で下坂さん、見城さん、そして、私の三人で机を囲んだ時のことだった。テーブルの上に置かれたのは進藤さんが丁寧に淹れてくれたコーヒーの香りに癒されたのは一瞬でピリリとした下坂さんの声が会議室に響いた。


「ミーティングを始める。コーヒーを飲みながらでいい。今回のシステム課の営業先についてのことだけど、相手の会社の業績、その他は省略する。分かっているものをして話すけど大丈夫か?」


「はい」


 資料だけでなく、私が自分で調べていたことも説明なく、分かっているものをして話は進んでいく。これからのスケジュール。大まかなシステム構築も既に出来上がっていて、フローチャートの入った資料が新たに配られた。資料というよりは冊子と言った方がいい厚さのものだった。


「これは私が仮に作ったシステム構築だが、不具合を徹底的に潰していき完成品を作成する。検証データを取り、そこからが営業交渉となる。今回は企業からの依頼でのシステムだが、これが開発されるとシステム課の主力商品となることは間違いない。今回のプロジェクトはシステムとデザインの融合。時間も掛かるし、大変だと思うけどよろしく頼む」
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