手のひら王子様
そんなわたしの心境なんて知る由もなく、


「今日はおまえにこれを渡しとこうと思ってな」


椋太朗のお父さんはどこからかA4サイズの封筒を取り出し、わたしの緊張を煽った。


差し出しされた封筒を怪訝な顔で受け取った椋太朗は、


「何やねん……これ」


今まで見たこともないピリッとした面持ちで正面を見据えた。


その顔はまるでお父さんを睨み付けてるようで。

傍らに居たわたしの緊張は不安に変わっていった。


「そんな顔しな。桜菜ちゃんがビビってるで」


「話替えるなや。これはなんやって聞いてんねん」


「おまえの実父の資料や」


アッサリと躊躇いなく答たお父さんに思わず胸の奥が大きく跳ねる。


実父って……椋太朗の血の繋がったお父さんってこと?


なんでそんなもの、お父さんは出したりするんだろう。


「なんでこんなん俺に渡すん?」


呟いた椋太朗の声がどこか寂しげに聞こえたのを、膝の上の手がギュッと握り締められていたのを見て確信した。


それを見たら考えるより先に自分の手のひらを椋太朗の手に重ねていた。



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