小さなポケット一杯の物語
第二章:運命
「それじゃあ最初から話すよ。」

男は少しだけ真剣な眼差しに変わったように思えた。

「さっきも話したように、俺は生きている内にいい事なんて一つもして来なかった。
だから裁判でほぼ地獄行きが決定的になってたんだ。そこで、ちょっと自分の行く地獄を覗いてみたんだ。そしたらそこには醜い生き物が地を這う様にウゴメいていたんだ。聞いてみると、四十九日を過ぎると心の中の様子が外見の容姿を形成していくそうで、醜い心の持ち主はその分だけ外見は醜くなってしまうんだって言われて焦ったんだよ。
俺もあんな醜い姿になっちまうのかよって思ってさ。」

男は顔を歪めた。

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