魔王木村と勇者石川
そこで、蛍は先程の迷との会話を思い出した。
「そう言えば、魔王を倒しに勇者が来るって」
「あっそうなの。大変だね」
「………魔王って誰か分かってる?」
「あっ………」
「うん」
「俺、なんかしたっけ?」
「えっ、と。うん。直接、聞いてみたら?」
「んー、まあ………そうね?」
そう言ってふらっと部屋を出ていく木村魔王を、魔女の蛍は見送った。
しかし、それが大きな間違いだったのだろう。
魔王が自室に戻ったのは日が昇ってからだった。
翌日、七不思議の噂は本当だったと多数が証言したそうな。