同居人は国民的アイドル




お父さんもお母さんもいない。




いるはずの廉くんだって、この暗い部屋の中ではどこにいるかわからない。




これじゃまるで、ほんとにひとりぼっちみたいだ。






そう、ひとりぼっち。




停電の中、ひとりぼっち。





そう考えた途端、小さい頃の「あの」嫌な記憶がまた蘇ってくるような気がして、私は思わずその場に座り込んだ。




こんなに暗いんだから見えないはずなのに、自分の体が震えていることはよくわかって。




どこに何があるかわからないこの状況の中、私はひとり震え続けた。





このまま朝までずっと電気がつかなかったらどうしよう…………




そんな最悪な考えが頭をよぎるから、体の震えはますます大きくなるばかり。





< 93 / 233 >

この作品をシェア

pagetop