保健室の眠り姫
新学期
「…ふう、とうちゃーく」
ノロノロと歩いて着いたのは、教室…ではなく保健室。
毎日のように保健室登校の私は、学校公認の病弱娘。
いつしか私は、学校中からこう呼ばれるようになった。
【保健室の眠り姫】
「おはよ、先生」
保健室のデスクでパソコンを弄っている先生、本城綾女。
「んぉ〜、今日も安定の保健室登校ですか」
苦そうなブラックコーヒーを一口飲み、「ん、」といつものように渡される体温計。
何の迷いもなく渡された体温計を脇に挟むと、あまり座り心地の良くないと評判のソファーに腰掛ける。