無意確認生命体

――しかし、同じ枷は二度踏まないのが私だ。

この雌舞希さんを甘く見てもらっては困る。

えぇ、もう翌日はバッチリ準備万端で自家製弁当を所持して学校へと赴きましたとも!

わざわざ早起きするために、前の夜は9時に床について!


勉強はどうした!


と思われるかもしれない。

だが甘い。

私は普段の授業の段階である程度の理解を得ている。

しかもテスト前日までは、しっかりと復習していた。

この積み重なった学の理解の前には、一夜漬けの付け焼き刃なんぞ、

まさしく足元にも及ばない!


……と、思っていた私こそが甘かった。


しかして現実は、そう上手いこといくもんじゃなかった。

結果は散々。

テスト二日目の一発目、日本史。

これはまだ良かった。

完全な暗記系は、私の得意とするところだからだ。


問題は二発目と三発目。

保健体育と英語のリスニングだ。

まず保体。

保健はこの際どうでもいい。

問題は体育なのだ。

私は極度の運動音痴で、スポーツはルールはおろか、競技の名前も出てこなかったりする。

それを完全に失念していた。


そして、リスニング。

これが私はすごく苦手だった。

書くのはいい。

単語や文法を覚えていれば、何とかなる。

だが、聞き取るのには耳を使う。

どうやら私は生粋の日本人らしく、カセットテープから流れる英語は、何度聞いてもこの世界に存在するものとは思えないのだった。


……まぁ、平たく言えば、聞き取るのに理解が追い着かなかったのだ。

< 110 / 196 >

この作品をシェア

pagetop