無意確認生命体
6月4日(金)

28.


「ぐあっ! なんじゃこりゃあ」


翌日の朝、目覚めた私は顔を洗うために洗面台まで来て、思わずそんな独り言を漏らしてしまった。

鏡に映る私の姿……というか髪は、某少年漫画の金髪超人化現象よろしく、見事なまでに地球の引力に逆らい、直立状態になっていらした。

梅雨になり湿度が上がるこの時期には、私の髪は度々これに近い状態を朝になると形成されておられる。

さらに、眠っている時の私は、このような髪型の制作に協力的だ。

積極的に自分からゴロゴロ転がっているだろうし、そりゃあ髪だって存分に振り乱しているに違いない。

いやそれにしたって、ここまで酷いのは珍しかった。


……なんだこれ。

前髪まで全部はねて、おでこも全開じゃないか。


迂闊だった。

今朝がここまでジトっとした陽気になるってわかってたら、昨日の晩は髪をしっかり乾かしてから寝ただろうに。

これ、水で濡らすぐらいでどうにかなる状態じゃ、ないよねえ……。


――私は鏡に映る放心した表情の逆髪女《さかがみおんな》と一分程睨み合った後、シャワーに入ることを決めた。

< 117 / 196 >

この作品をシェア

pagetop