無意確認生命体

「ストップ。美智。ありがと、もういいから。席、戻ろ? あとは私が柏木くんと話をつけるから」

「いいや! 教師が来ても関係ない! こっち優先! いま! あたしが話しつける! だから雌舞希――」

そこで私は、頭に血が上ってしまっている美智の肩に置いた手をぐいっと力を込めて引っ張り、無理矢理彼女をこちらに向け、


「いいから」


と満面の笑みを見せつけた。

すると美智は納得いかない感じではあったが、私の表情から何かを察してくれたようで、

「……わかった」

と柏木を解放した。

柏木は長らく続いた地獄から解放され、ほっとしたように肩を落とし、チラッと私を見た。



柏木は気付いていない。まだ本当は解放されてなんかいないという事実を。

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