無意確認生命体
5月14日(金)

22.


「柏木くん、ちょっとイイかな?」

翌朝、2―Bの自分の席に座り、私は後ろの「彼」に、満面の笑みを浮かべて話しかけた。

――ちなみに机と椅子、それと窓ガラスはすでに新しいものに替えられている。

「ぅえ? な……、なんだよ?」

今や、『雌舞希癌』末期症状患者の柏木は、私が話しかけただけでこの反応だった。

もちろん、それは私にとって、すごく喜ばしいというか、爽快極まりないことだ。


……居心地はすこぶる悪かったが……。


私は薄ら寒い満面の笑みを浮かべたまま、この無駄に他人に馴れ馴れしい奴には、もってこいの質問をした。

「ねぇ、浅瀬さんってどんな人なの?」

「は。へ? 何。な、何で?」

「いいから答えて。浅瀬さんって、貴方から見て、どんな人?」

「う……。あ! ふ、普通かな。普通!」


……どこまでも中身のない男だった。


「ふうん。そう、もういい。貴重なご意見ありがとう」

これ以上訊いても無駄だと思い、そう言って踵を返した。


……くっ! 何だ"普通"って!

人の評価がそれか!

私はどっかのファミレスの味の感想訊いたワケじゃないんだぞ!

あー! この馬鹿ホントなめてる!


他人に対してどこまでも馴れ馴れしく気安いクセして、他人のことなんかコレっぽっちも、ただのひと欠片も気に掛けることがない。

このバカシワギの馬鹿さ加減を改めて思い知らされた私は、すでに地の底までも堕ちていたこいつの評価が、またさらにワンランク、レベルダウンしたのであった。


くっそう!



こんな奴に訊くんじゃなかった!

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