無意確認生命体

「客？　誰が来るのさ？」

「今日はね、親戚の人たちが集まるのよ。時間が今日しか取れないからって。しぃちゃん、居心地悪いでしょ？　みんな来ると。だから、ごめんね」

それを聞いて、私は納得する。

なるほど。

それなら私は例え瀕死の重傷であったとしても学校へ行くことだろう。

ほんというと、そんな事実は知りたくもなかった。

多分おばぁもそれを察してくれていて、私がさっきの"だだ"をこぼさなければ、黙っていようとしてくれていたのだろう。



この親戚連中は、私に尋常じゃないくらいに優しくしてくる。

――というより、気を使ってくる。

私と顔を合わせれば必ず愛想笑いで出迎えて、その後に万単位で「おこづかい」をくれる。

私にとって、それは、すごく不愉快で居心地の悪いことだった。



「あ、そうなんだ。わかった。それじゃ、しょうがないね。何？　みんなで病院に行くの？」

「うんそうなの。病院にはもう伝えてあるから。本当は２８日に集まってもらえるのが一番良かったんだけどねぇ。賢治がどうしても今日しか都合が付けられないからって」

「あぁ、賢治おじさん忙しいもんね。うん。じゃ、私は退散させてもらおっかな。おじさんたち、帰るのいつ頃になりそう？　夕方ぐらいかな」

「あぁ～、そうだね。この頃はしぃちゃん、部活があるって帰るの遅いから、そのくらいの時間にだったら、もうみんな帰ってると思うよ」


それなら今日で良かった。

明日からはテスト前週間で、部活動は停止される。

ギリギリセーフってやつだ。


私は相変わらず顔色悪く、少しふらつきながらテーブルに手をついて立ち上がり、

「いってきます。おじさんたちによろしく言っといて。あー、おこづかいとか、絶対受け取らなくていいからね。もしくれても、おばぁが代わりに貰っておいて」

そう言い残して、家を後にした。