海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
ある日の放課後、私や瑞穂がいる就職コースの生徒を対象にした、就職説明会が行われた。


瑞穂は就職ではなく専門学校への進学を希望していたけれど、そんな生徒達の進学の事も含めての説明会だった。


就職を担当している学年主任の先生が、約160人程の生徒が集まるホールで、マイクを握って説明を始めた。


「近日中に学校に届いている求人票を見てもらって、第1~第3までの希望を取ります。」

という事だった。



私たちが就職活動をし始めたその年は、もう既に就職難の時代に入っていて、学年主任の先生は、


「その就職難に打ち勝つには、沢山の資格を取る事が必要です。」


そう、言っていた。


その資格の一つとして、車の運転免許は必須だった。


私が住む地域では運転免許を持っていなければ勤まらない位、当たり前の資格だったから、


18歳になった生徒から順番に自動車学校に通って良いという決まりになっていた。


「但し、取得後の免許証は卒業まで学校に預けるように。」

という、条件付きだったけれど。



そして説明会の中で言っていたのは、


「放課後、就職試験を迎える者から順番に、履歴書の書き方と面接の練習をします。」

という事だった。


その頃の私は簿記もワープロも得意だったし、それを活かす為にも、やるなら絶対に事務の仕事がしたいと思っていた。


自分にはその仕事が合うだろうとも思っていた。


数日後、先生から言われていた通り、ロビーの掲示板に貼り出されていた求人票を見て、一度両親に相談してから希望を出した。



その年の求人票は、前年の半分程だったらしい。


“就職難”


この言葉はよく耳にしていたけれど、それは自分の予想以上の厳しい状況だった。
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