海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
同じ部署の女性社員の内、今後一緒に仕事をしていく人の名前は、


松井なみさんという、

私より一つ年上の19歳で、同じ高校の卒業生だった。


歳が近かったのと、同じ高校に通っていたという事もあり、色んな話をしている内にとても仲良くなった。



恋愛の話になったのは、ある日の昼休みのこと。


「河原さんは彼氏いないの?」


お弁当をパクついている途中、松井さんに突然聞かれた。


「いや、いません。今まで一度も。」


「えーっ!そうなんだぁ、いそうなのに。」


松井さんの大きな目が、驚きで更に大きく見開いた事で、私は少しだけ恥ずかしくなった。


“今まで一度も彼氏がいなかった”という事が、何だか恥ずかしい事のように思えたから。



「松井さんはいるんですか?」


「私?一応いるよ。」


そう言って恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに笑った松井さんは、とても可愛いらしく見えた。


幸せな恋をしている人の表情だと思った。



「どんな人なんですか?」


幸せな気持ちが伝わってくるせいか、質問する私も自然と笑顔になる。


「んーとねぇ、優しくて、スポーツマンかな。バスケやってるの。25歳でね、友達からは私と付き合っている事を“犯罪”って言われるんだって。」


松井さんはそう言いながら、ますます嬉しそうに笑った。


その笑顔には“好きで好きでたまらない”という気持ちが溢れていた。


「へぇー。いいですね、すごく仲が良さそう。」


「うん、仲良しだよ。」


松井さんはえへへ、と笑った後、


「今まで好きな人とかいなかったの?」


そう聞かれて私が思い浮かべたのは、やっぱり相葉先生だった。


「あぁ…いました。いたけどダメでした。」


「そうなんだぁ、どんな人だったの?」


そう聞かれて、


本当の事を話そうか、


それとも何となくごまかして隠してしまおうか悩んだけれど、


私は思い切って口を開いた。
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