海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
そうやって見学している最中、視界の端の方で椎名先生が手招きしている事に気付き、足早に椎名先生の方へと歩み寄った。


「はい。」

「いい?生徒さんの前に立つ時には…」


椎名先生と教室を覗きながら、立ち位置や声のトーン、ホワイトボードの使い方などの細かいアドバイスを受けた。



「そんなに難しくない内容の授業があったら入ってみましょうね。」

という椎名先生の提案に、


「私に出来るんでしょうか。考えただけで不安です。」

そう言って困ったように笑うと、


「大丈夫よ。まずは場数を踏まなくちゃね。」

椎名先生は笑顔でポンッと私の肩を叩き、


「まぁ、少し座って話をしましょう。」

と、私を自分の席に座るように促した。


それからスケジュール表を見つめた椎名先生は、


「今週、Wordの初級でスタートする生徒さんがいるから、そこでデビューしましょう。」

と、まるで名案が浮かんだかのような表情を浮かべた。


「えっ!?」

「楽しみね!ふふっ。」


そう言って、私の反応なんてお構いなしの椎名先生は、スケジュール表に赤いマーカーで印をつけている。


オロオロしている間もなく、私が講師として生徒さんの前に立つ日は決まった。
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