海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
きっと、食事も満足に作ってあげられないし、掃除や洗濯をしに来てあげる事も、ほぼ週末限定になるだろう。


だけど、彼の学生時代や私が無職だった頃のように、“身の回りの世話は私がするもの”と大和は思っているに違いなくて。


もちろん私自身もそうしてあげたいと本当に思っていたのだけれど、どうしても今は出来そうになかった。


結果的に、大和に可哀想な想いをさせてしまうのかもしれない。


そう思えば思う程、どうして1日は24時間しかないのだろうと感じた。


『してあげたいけれど、出来ない。』


そんな葛藤と後ろめたさは、私の心の中から消える事がなかった。



「気にしなくていいよ。」

「え?」


意外にも、大和の答えはとても理解ある言葉だった。


「俺も仕事で必死だし、慣れるまではこういう状態になるのも分かるから。だから俺の事は心配しなくていいから。」


私はそんな大和の気持ちが嬉しくて、


「ありがとう…。私、この仕事を頑張りたいと思っているの。」

そう言って、少しだけほっとする事が出来たような笑顔を見せた。


「分かってるよ。さくはすごく頑張ってる。」

大和は冷蔵庫から冷えたビールを1本取り出して、それを一口飲むと、更に話を続けた。


「俺も仕事が忙しいし、会社の人達との付き合いもあるから。お互い頑張ろうな。」

「ありがとう!頑張ろうね。」


明るい笑顔で私達は見つめ合っていた。
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