海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
帰り道、私が二人につい先ほど起きた出来事を話すと


「…そんな事があったんだ。」


そう言って、梢は目を丸くした。


元々大きな彼女の瞳は、驚きで更に大きく見開いていた。


それから、心配をかけたくなくて敢えて言わなかった検定の時の出来事も打ち明けた。


すると瑞穂は溜め息をつきながら


「この前嫌な予感がしたんだよね。やっぱここは、妬みとかひがみが多い“女の世界”だよね。そんなに悔しいなら自分も頑張ったらいいじゃんねー!」


そう言って怒っていた。


瑞穂は私の事なのに、まるで自分の事のように思ってくれる。


瑞穂も梢も、ホントにいい子達だと思う。


「タイミング良く相葉先生が来てくれて良かったね。」


梢の一言に私はコクンと頷くと、


「だけどね、私がこういう目に遭ったのは、相葉先生絡みだって事が先生にバレちゃったの。きっと、嫌な思いをさせたと思う…。」


話しながら、私はどんどん表情を曇らせていった。


私にとって、この事が何より気がかりだった。


先生に嫌な思いなんてさせたくなかったから―…


そして私は、もう一つの不安を吐き出した。


「先生に『目立つ行動は程々にな』って言われたのも気になったの。あまりパソコン教室には行かない方がいいって事かなぁ…。」


授業以外で相葉先生と交流があるとしたら、思い当たるのは放課後のパソコン教室の準備室位だ。


確かに、他の生徒に比べれば頻繁に行っているかもしれないけれど、決して毎日通っているわけではなかった。


「そんなに目ぇつけられる程、行ってたっけ?」


梢は不思議そうに首を傾げている。


「大体、週に3回位かなぁ…。」


私は“うーん”と考えながら答えた。


「…多分、回数の問題じゃないんじゃないかな。」


そんな瑞穂の言葉に、


「えっ?」


私も梢もほぼ同時に瑞穂を見つめた。
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