Only Three Months
LAST
食堂へ行くと、いつもと雰囲気が違っていた。
貴族たちがいるのはいつもと変わらないけど、子どもたちがいない。

きっと、オレたちの話をするんだろう。
雰囲気が重たくなるから、子どもたちを連れてきてはいないんだろう。


「今日こうして集まってもらった理由を、そろそろ話そう」


食事が落ち着いた頃、サーが話し出す。
貴族たちが話を止めて、サーの言葉を待つ。

サーは、アルバートの王族だ。
それなのに、貴族との距離が近い気がする。
すごく、仲が良い感じがする。
それだけ、貴族たちがサーを頼りに過ごしてきたのかもしれない。


「明日、マイクとエドをヴィクトリア城へ連れて行こうと思う」
「明日?」
「明日だ」


驚きすぎて、それ以外の言葉が出ない。
アリーがいるところに行けるのか?


「明日、ヴィクトリアの貴族や王族が集まって、アリーの無事を確かめる舞踏会がある。
 嬉しいことに、王妃から私が招待されている。
 招待状には、2名まで同伴が許可されている」


急展開すぎて、ついて行けない。
でも、オレが明日ヴィクトリア城へ行けるのは分かった。
アリーの無事を確かめる舞踏会ってことは、アリーが表に出てくるはず。
オレが、アリーを見ることもできるはず。

サーが招待状を見せてくれた。
確かに、招待されているし、2人まで一緒に行ける。


「舞踏会で、マイクがヴィクトリアの貴族に向けて話すんだ。
 アリーがこの2ヶ月何をしていたのか」
「姫の2ヶ月間の庶民生活はどうだったんだ、マイク」
「どうって…」


何を話せばいいのかが分からない。
エドと顔を見合わせる。


「そうか、私の狙いを話そう」


オレたちの混乱を察したサーが、付け加えてくれた。
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