Only Three Months
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「私も、あの人とは政略結婚して、今ここにこうしているの。
 でも、もともとは今のアリーと同じ立場だったわ。
 一国の姫として、国中に見守られて育った。
 結婚するまではとても幸せだったわ」


王妃の言葉をかみしめる。
アリーと同じように一国の姫だった王妃。
それが、あんな国王と一緒に暮らすようになったんだ。
きっと、王妃の両親だちの外交政策によって。


「お見合いをしたときから、あの人はいい人に思えなかったの。
 結婚して、それが確信に変わって、本当に嫌だった。
 本国のことを思えば、取引的には成功したと言えるでしょうけど」


王族、特に女性王族の厳しいところだ。
庶民学校ではあまり詳しいことまでは教えてくれないけど、想像はつく。
男性優位で、女性の意見はほとんど通らない。


「結婚相手が良い人なら、こんなことを思うはずなんてないんでしょうけど。
 みなさんもご存じのあの人ですから、私を気遣ってくれるはずもなくて。
 よく知らないヴィクトリア城の中、私は独り」


王妃の出身国がどんなところなのかは知らない。
でも、あの国王と結婚しないといけなかったくらいだから、あまり豊かな国ではなかったんだろう。
国王の両親のこともあまり知らないけど、ある程度は予想がつく。


「それだ、政略結婚の行き着く先よ。
 もちろん、すべての王子がそういう人だとは言わない。
 私の友人でも、政略結婚で満足に暮らしている人はたくさんいるわ。
 経済的ではなくて、人として安心して暮らすという意味で」


学校では習わない、王族の裏事情。
なんとなく、話の方向が見えてきた。


「アリーには、それをさせたくないの。
 でも、でも決まっているお見合いがあって、相手はもうその気。
 それを止めるには、他の人との結婚が決まったからと断るのが一番穏便に済む」


お見合い相手の国との関係を考えたときに、理由もなく断ることはできない。
相手がもう結婚する気で来るから、結婚相手を決めてしまえば断れる。
そうすれば、貸し借りの関係も大きくなく、外交にも支障をきたさない。

…つまり?
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