Only Three Months
CRY
オレが起きても、姫はまだ寝てた。
とっくに手は離れてて、姫は布団を握ってる。

すごく難しい顔。
どんな夢を見たら、そんな顔になる?

姫を起こさないように、ベットを出て、洗面台へ。
顔を洗ってから、キッチンへ。
朝ご飯の準備をする。

朝は基本、パンとスープ。
余裕があるときはヨーグルトとかフルーツも食べるけど。

適当に野菜を切って、お湯の中へ。
固形コンソメが溶けたら、完成。
手軽にできるから、朝の定番。


「…んんっ」
「起きた?」


姫が起き上がってた。
目が覚めきってない感じ。

当然だろうな。
あんな顔して寝てるくらいだから、疲れなんて取れてないんだろう。


「もうすぐご飯できるけど、どうする?」
「洗面台借りる」
「こっち」


姫が自分で顔を洗って、オレが使ってるブラシで髪をといてる。
すごく、変な気分。
王族の姫が、オレと物を共有してる。
それに、ひとりで身支度できるんだ。
使用人が手伝ってると思ってた。

姫が戻ってくるまでに、パンをトーストして、バターを塗って。
軽くサラダを盛りつけて、スープもよそって。

運び終わったところに、ちょうどよく姫が戻ってきて。
さっきよりは意識がはっきりしてるみたい。


「どうぞ」
「ありがとう」


姫には、専属でシェフがいるはず。
王族が食べてるものって、絶対的に違うはずだよな。

姫が食べ始めるのを凝視してしまう。
王族に、オレが作ったものを食べてもらえるとか。
庶民じゃ絶対経験しないこと。


「…美味しい」
「よかった」


安心する。
口に合わなかったら、これから姫をしばらく匿うことになるのが不安でしかないから。
姫に行くあてはないんだし。
オレが、守ってあげないと。


「庶民って、みんな料理できるの?」
「みんなじゃないかもな。
 オレの学校は調理実習が週に2回あるからできる人多いけど」


執事・淑女教育の一貫。
卒業後に、執事養成校へ行く人もいるくらいだから、料理が必修。


「貴族学校にも取り入れるべきね」
「そう?」
「私、料理させてもらえないから、自分で生活できないもの」


姫が料理をする必要は、ないからな。
今の姫みたいな状況にならない限りは。



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