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依頼者
「ごめんね、ハル…」

私の目の前にいる親友が目に涙を浮かべてか弱い声で謝る。

「美緒…どうして…」

そんな美緒の顔を直視出来ずに私は、
俯いたまま、小さく呟く。

ねぇ、
どうして貴方は死んでしまったの?

ねぇ、私が観てない所で何があったの?

ねぇ、
どうして私に何も相談してくれなかったの?

そんなに私が役に立たなかった?

ねぇ、どうして?

私は貴方がこの世から居なくなるのが、
一番悲しいんだよ…

「ハルには何も話さなくてごめんね…
心配かけたくなかったけど…結局こうなっちゃってさ…」

ふと目の前を見ると、
美緒は笑っていた。

それと同時に、淡い、光の粒子が美緒を包み、身体を溶かして行く。

「あ、待って…美緒っ!行かないで!!」

美緒が消えてしまうのを止めようと、
私は必死で美緒を抱き寄せる。
しかし、そこに美緒の肌の感触はなく、
私の手は、ただ空を抱いただけだった。

いよいよ、終わりが近づいてきた。

私の腕の中にあっても、
触ることができない美緒の体は、
殆ど透けてしまい、辛うじてでしか見えない。


「さようなら、ハル…生まれ変わっても、また親友でいようね…」

美緒は私に笑いかけた後、
光の粒子となって消えてしまった。


なんにもない空間に、
私1人が呆然と残されていた。

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