独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


「遼先輩、あのね。これは……」

「邪魔だ。退け!」


美紀は泣きそうな顔で遼にすがりつこうとしたけれど、一喝され、表情を強張らせた。

逆らわない方が賢明と判断したのか、目の前にいる男性も私を押さえつけている男性も、すっとその場から身を引いていく。

隣りに立っている斉木さんも遼に睨みつけられ、微かに唇を震わせながらゆっくりと後ずさっていく。


「……遼」


遼が傍にいることへの安心感と、自分を抑えつけていたものから解き放たれた安堵感から、ほんの一瞬、目の前が白け、足の力が抜けた。


「麻莉!」


崩れ落ちそうになった私の身体を、遼の両腕がしっかりと抱き止めてくれた。


「大丈夫か。しっかりしろ」

「……ごめん……安心したら、力抜けちゃった」


優しく頭を撫でてくれる大好きな遼の手が、微かに震えている。


「遅くなって悪かった」


私は首を横にふると、彼の胸元に顔を埋めた。


「お願い聞いて。遼先輩……」

「触るな」


遼へと伸ばした美紀の手がびくりと跳ねた。


「俺の視界から消えろ」


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