君は生徒、愛してはいけない

落し物


夜の公園で華を抱きしめた日から、福野の事は気にしなくなった。


華は勉強でわからないところがあると、どの教科も俺に聞いてくるようになった。

俺は華に教えるために、他の教科を少しずつ勉強し直した。


華に見つからないように。




ある日おばあさんから電話があった。


そろそろ来てくれないともうずっと晩御飯作らない!とおばあさんは相当拗ねていたので、その日は仕事を早く切り上げて青山家に向かった。



「渉くんおかえり」

ドアを開けるとおばあさんはリビングからそう言った。

渉くんと呼ばれたことに驚いていると、おばあさんはいつもの柔らかい笑顔で言った。


「さっき華ちゃんの副担任の福野先生がいらしてね、渉くんのこと先生って呼んでたらなんか都合が悪いかと思って」

情報が多すぎてわけがわからなかった。


「なんで福野が来たんですか?」

「華ちゃんのお財布が教室に落ちてたみたいで届けてくれたの。
福野先生には渉くんが小さい時に私が近所に住んでたことになってるから」

対応力が求められる時のおばあさんの力の発揮具合は本当に侮れない、と思った。


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