難攻不落な彼に口説かれたら
中村さんを注意すると、彼女は俺から顔を逸らして謝った。

「ご、ご、ごめん」

……挙動不審。大丈夫か?

この様子だと家に着くまでに階段から転げ落ちたりしそうだな。

それに、また痴漢に遭わないとは限らない。

中村さんの腕を掴んだまま駅の改札を通って駅を出ると、彼女は俺を呼び止めた。

「片岡君、どこ行くの?」

「腹が減った。何か食べて帰ろう。中村さんも付き合って」

中村さんの返事も聞かずに、近くにあったうどん屋に入る。

うどん屋を選んだのは、うどんが消化にいいからだ。

食事を済ませると、昨夜と同じように彼女をタクシーに乗せて帰らせた。

……なんか俺、古賀さんの策略にまんまとはまってないか?



















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