難攻不落な彼に口説かれたら
「今喋ってるだろ?中村さん、飲み過ぎ。明日どうなっても知らないよ」

片岡君に突き放すような言い方をされ、急に悲しくなってきた。

「……私だって全部忘れちゃうくらい飲みたいんだもん。片岡君は……全然わかってな……グズッ」

ポタポタっと涙が雨つぶのように目から落ちてきて、私はテーブルに突っ伏した。

「古賀さん、これが第二段階とするとあと二段階残ってるんですけど……。何でこうなるとわかってて飲ませたんですか?」

片岡君が秀兄を咎める。

「何でって、こうした方が俺的には面白いから」

秀兄の言葉に片岡君は絶句する。

「面白いって……」

面白いってなんなのよ、秀兄。

そう思ったけど、泣くのに忙しくて秀兄に突っ込めなかった。

その後もふたりは何か話していたけど、上手く聞き取れない。
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